古材を使った家づくり
〜地球環境に配慮したライフスタイルを〜
古材とは?
古材について知ろう
古材とは、古民家の解体時や改修時に、まだ使える材として取り出されたものです。
使われなくなった古民家の解体は全国でも多々行われていますが、有効利用できるにもかかわらず、廃棄されてしまうこともあります。
古民家の解体から再利用までの流れ
- 古民家
- 解体
- 加工・販売
- 施工
- 新たな家に
- 古民家
- 解体
- 加工・販売
- 施工
- あらたな家に
『じゃぱとら』2022年5月号より転載
古材の利用価値
古材にはケヤキやサクラ等、銘木と呼ばれる木材も多く、現在では貴重なものも多数あります。また経年劣化による味わいなど、新材にはない魅力があります。
さらに古材をリユースすることは、脱炭素社会の実現や循環型建築社会の形成に寄与する有効な取り組みとされています。
リサイクル法と古材リユース(再利用)
現行法律では、古材はリサイクル法において「産業廃棄物」として取り扱われます。 決められた処分をせずに産業廃棄物を売買することはできません。例えば古民家の解体現場から法的な手続きをせずに、家の建築に使う古材を購入することは、リサイクル法違反となります。
また取扱いには古物商の許可が必要となり、このことが古材のリユースを困難にしている現状があります。
地球環境への貢献
次世代につなげよう
廃棄物の削減や温室効果ガス排出抑制につながります。
古材をリユースすることで、廃棄物の発生量を削減できます。また、炭素を蓄えた木材を廃棄せずに、住宅に再利用することで、温室効果ガス排出量の抑制にもつながります。
『カーボンニュートラル』と『カーボンクレジット』って何?
『じゃぱとら』2023年5月号より転載
ニュースなどで『カーボンニュートラル』と『カーボンクレジット』という言葉を耳にすることが多くなりました。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味しており、気候変動が世界的に大きな課題となる中で、日本でも2050年カーボンニュートラルを目標に掲げ、様々な取り組みが進められています。
カーボンクレジットは、CO2などの温室効果ガスの削減効果を排出権(クレジット)として発行し、企業間取引で相殺(カーボン・オフセット)できるようにする仕組みです。
樹木はその成長過程で光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、伐採後も燃やさない限りは放出されず、炭素として内部に蓄積したまま固定されます。つまり、身の回りに木製品が増えるほど、大気中の二酸化炭素は減ることになるのです。
古民家は木材が主要な建築材料であり、古材の再利用は大気中の二酸化炭素を減らすことに繋がります。さらに木材の再利用により、新たに建てる建物に比べて、資源の節約に繋がります。
古材を廃棄する場合
廃棄物の発生
解体材の焼却等に伴う
温室効果ガス排出
新たな建築資材の使用
古材を利用する場合
廃棄物や温室効果ガスが減少
新たに使用する建築資材が減少
古材を利用 (炭素を排出せずに蓄積)
古材リユースの環境保全効果を「みえる化」する取り組み
一般社団法人住まい教育推進協会が定めた調査項目に基づき、木造住宅簡易鑑定資格者が調査。木造住宅簡易鑑定書(古材鑑定書)の発行を行っています。
カーボンクレジットは、CO2などの温室効果ガスの削減効果を排出権(クレジット)として発行し、企業間取引で相殺(カーボン・オフセット)できるようにする仕組みのこと。
古民家の再利用は、CO2の排出量を削減するための取り組みとして評価されており、カーボンクレジットを得ることができます。得られたカーボンクレジットは、企業や国などの温室効果ガス排出量の上限が設定された制度において、排出量削減量の一部として認められることがあります。
つまり、古民家や古材の再利用は、環境に優しく、カーボンクレジットを取得することも可能な取り組みです。古民家を再利用することで、過剰な資源消費やCO2排出を削減し、持続可能な社会を実現するために貢献することができます。
古材倉庫について
古材倉庫とその関連団体
解体古民家と古材を利用したい方を仲介
古材倉庫では、解体された古民家からまだ使える古材を検査選別し、一時保管後に出荷販売することで、解体古民家と古材を利用したい方の仲介をいたします。
全国統一規格を設け、どの「古材倉庫」からでも安心・安全な古材の出荷を目指します。
正規の手続きで古材を販売
「古材倉庫」では、古民家の解体時に手続きをし、出在場所の確かな古材のみを、一定の規格に基づきお客様に販売いたします。
さらにさまざまな古材の中から、サイズ・品質・樹種などを見極めた上で、ご希望に合う古材を選定してご紹介いたします。
PL法(製造物責任法)に基づく保証
古材を建築物の構造材やインテリア材として再利用する場合は、安全性の観点から、品質確認が重要になってきます。
古材倉庫では製造物責任法(PL法)にともなう10年間の保証を付けているので、安心して古材を使用することが出来ます。
お気軽にお問い合わせください。
お問合せはこちらから ※運営会社(真輝建備)のお問い合わせページが開きます古材の利用事例
古材を使って家を建てる ・ 一部に古材を取り入れる
使える資源を無駄なく利用しよう
古材・新木材を使った究極のリフォーム
神奈川県横浜市K様
代々続く家の古材を使いつつ、現在の耐震基準にあわせて建て直しを行いました。解体前に専門家による鑑定を行なった後丁寧に解体し、まだ十分使える古材を選別します。そして新しい木材と共に躯体に使用することで、風格のある新築へと生まれ変わりました。
プロによる鑑定で安全性を確認
古民家の再利用にあたっては、事前に専門家による鑑定を行い、構造材としての安全性等を確認したのちに、建築設計に取り掛かります。
建物外観
Before
After
玄関外観
Before
After
縁側
Before
After
玄関内観
Before
After
リビング
Before
After
欄間・床間
Before
After
ご相談から着工までの流れ
- 1
ご要望をヒアリング
お問い合わせよりご連絡ください。折り返しご連絡の上、詳細なご要望をヒアリングさせていただきます。
-
2
鑑定
専門家による鑑定を行い、構造材としての安全性等を確認したのちに、建築設計に取り掛かります。
-
3
建築プランの作成
古材に詳しい専門会社が、建築プランを設計・ご提案いたします。
-
4
着工
設計から建築まで専門会社が一貫して行うため、安心してお任せいただけます。
古民家をまるごと移築する
古民家をそのまま利用
横井邸
香川県丸亀市→アメリカ・カリフォルニア州 サンマリノ市に移築再生
香川県丸亀市よりハンティントン財団庭園に移築再生された築200年の横井邸。移築に際しては日本の大工・佐官・建具をはじめ各職人が渡米し、日本の木造建築によって培われた伝統の技をもって再築を果たしました。
『じゃぱとら』2022年5月号より転載
プロによる鑑定で安全性を確認
事前に専門家による鑑定を行い、移築する古民家の安全性等を確認した上で移築プランを作ります。
①築200年とされる横井邸
②解体された古材は洗い磨かれる
③現地に輸送された古材
④倉庫での仮組ののち再築開始
⑤美しい小屋組も再現された
⑥美しい佇まいそのままに完成
ご相談から着工までの流れ
- 1
ご要望をヒアリング
お問い合わせよりご連絡ください。折り返しご連絡の上、詳細なご要望をヒアリングさせていただきます。
移築したい家がお決まりでない場合、「古材倉庫」のネットワークで全国から古民家・空き家の情報を収集し、ご提案することも可能です。
-
2
鑑定
専門家による鑑定を行い、移築する古民家の安全性等を確認した上で移築プランを作ります。
-
3
解体・鑑定
移築する古民家を解体します。 解体された古材は1つ1つ洗い磨き、古材倉庫に保管。この際、金属探知機による針等の金属の撤去・ 目視等による検査と木材強度(ヤング係数)の測定・含水率の測定等、安全性の観点から品質確認を行います。
-
4
運搬・再築
ご希望の土地に古材を運搬し、古民家を再築します。古材に詳しい専門の建築会社が行うため、安心してお任せいただけます。
施工会社のご紹介
豊富な古材の知識で安心してお任せいただけます!
株式会社真輝建備
(株)真輝建備の本業は、主にゼネコンの一次受として、木材を使った建物の建築が中心です。社長の腰越氏の元には、40年以上木材を取り扱ってきた経験から、木材建築の中でも特殊な建築物の相談が数多く寄せられます。 最近では早稲田大学での「村上春樹ライブラリー」や、オリンピック選手村の「ビレッジプラザ」といった話題の建築物も手がけています。
腰越氏は次世代への「木材文化の継承」を使命ととらえ、古材を中心とした活動を広げてゆきたいとの熱い思いから、2022年に千葉県君津市において「古材倉庫」の開業に至りました。さらに同敷地内にて「一般社団法人古材リユース推進協会 東京支部」の事務所を開設・運営しています。
社長への質問
- Q.古材を使った建築物で印象深いものはありますか?
- 数年前に晴海で行われた「エコプロダクツ」というイベントで、古材を再利用した移動組み立て式の茶室を出品し、特別賞をいただきました。古材に関する法律整備の遅れている日本で、どのように古材の再利用を進めるか、道筋が見えてきた気がしました。
- Q.古材を使った住宅は今後増えていきますか?
- SDG’sに代表される地球環境保全の有効性を国も認め、助成金などによる政策の後押しも増えることが予定されていることから、古材を使った住宅は今後増えていくと思われます。 また、建築に使う国産木材の入手が難しくなっていますが、全国の空き家は800〜960万戸存在します。年間の住宅着工数が86万戸ですので、需要に充分見合うだけの数があるということがわかります。
実績紹介
- 村上春樹記念館
- ビレッジプラザ
- 関町マンション
- 千里リハビリテーション
- 海老名コンビニ
- 2016ハウスビジョン(足水工事)
Q&A
よくあるご質問
- Q.古材を使った時の耐久性・安全性は大丈夫?
-
経年変化により強度が落ちる鉄やコンクリートとは異なり、古材は時間経過により引っ張り強度・圧縮強度が高くなる性質を持ち、再活用をするのに非常に適した資材だと注目を集めています。
木は伐採されてから乾燥することにより強度が増していき、古民家で使われている古材は時間をかけて天然乾燥され強度が高まったものです。
樹齢100年のヒノキの場合ですと、伐採されてから100年後が最も引っ張り強度・圧縮強度が増しているという研究結果もあり、実は新材より古材の方が強度が高いのです。
- Q.古材は健康に良いと聞きますが、本当?
-
現在の住宅の大部分には合成の「新建材」が使われており、中には化学物質を含む合成材料や接着剤、塗料などが、室内空気質に悪影響を与えるものがあります。
対して昔の住宅は「無垢の木材」で建てられていたことから、化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響の問題が起きないと言われています。ただし古材の再利用には十分な安全性の調査が必要です。
- Q.古材で家を建てると工期が長くなると聞きました。
-
古材を専門に扱える職人が少なくなっていること、作業に手間がかかることなどから、通常の住宅建築よりも工期が長くなる傾向があります。あらかじめ念頭に置いた上で余裕を持った計画をお勧めいたします。
- Q.古材倉庫に古材を見にいくことはできますか?
-
はい、ご連絡をいただいた上で直接古材をご覧いただくことが可能です。
古材倉庫のある千葉県の君津市はマザー牧場も近いため、観光がてらお立ち寄りください。ご要望に合う古材がその時に倉庫にあるかどうかわかりませんので、事前にお問い合わせください。